こんにちは。
今回はドイツで行われている年代別のトレーニングを紹介した一冊です。
サッカー年代別トレーニングの教科書
中野 吉之伴
KANZEN カンゼン
ドイツの育成年代の抜本的改革
2000年のヨーロッパ選手権の予選敗退から2014年のブラジルW杯優勝までドイツサッカー界ではどのような改革がされてきたのか。
それは育成年代の抜本的な改革でした。
育成年代とは選手の育成だけでなく、それに携わる指導者の育成も含まれていました。
ドイツサッカー協会が育成のグラスルーツから見直し、各年代に適した育成理論を考え直し、ドイツブンデスリーガの各クラブに育成機関の設置を義務化するなど大きな改革を行いました。
ドイツの育成事情は?
その期間に指導者としてドイツで活動していた著者が、ドイツの育成改革を肌で感じながら得たものを紹介してくれています。
すごく面白かったのは、ブンデスリーガのチームの育成が途中コラム的に紹介されており、都心に近いクラブや田舎のクラブでの違いなども知ることができます。
サッカーの育成において何に重きを置いているのか。
ドイツサッカー協会が考える育成と指導者について、本書を読み進めると少しわかるような気がします。(分かった気になっているだけだと思います・・・)
本書のおすすめな点
こちらの本を指導者の方におすすめしたい理由は、単なるメニュー紹介本ではないからです。
最初にこの記事でも振れましたドイツサッカーの歴史を紹介し、
育成への考え方(育成論)、指導者への考え方(指導者論)
そして年代別のトレーニングメニューの紹介という構成になっています。
僕もやりがちでそうならないようにしているのですが、メニューだけ取り出して真似るという日本人指導者に多い、メニューのコピーが起きないようなつくりになっていると感じます。
メニューのコピーが悪いというわけではなく、真似るのが悪とも決して思っていません。
ただ練習メニューだけコピーしてやらせるだけになり、目的のない、積み上げのない練習は次につながらないかと思います。
ドイツを見本に歩んできた日本
日本のサッカー界はドイツサッカーに大きな影響を受けながら今日まで発展してきました。
日本サッカー界に関わる先人の方々が大変な尽力をされてきた賜物であり、短い期間でここまで発展できたことはまぎれもない大きな事実です。
この先日本サッカーが躍進していくには、やはり2000年のドイツと同じように改革が必要かと思います。
それは指導者養成も含めた育成年代の改革、更にはそこに繋がる日本界全体のサッカーへ対する考え方、レベルを上げることだと思います。
ドイツや海外の模倣をただするというレベルではもうなくなってきているのが日本サッカー界だと僕は思います。
ここからは世界のサッカーのグローバルに敏感になりながら、日本の改善点を正確に見つけ出し、改善していくことが大事であり、まだ手が届いていない部分にも手を伸ばすことが必要だと思います。
それには僕ら育成に関わる人たちに小さな積み重ねが大切です。
現状維持でこれまでのやり方をしていくことは、目に見えての成果がもしかしたら得やすいかもしれないです。
ただそれは同じことをしているだけですので居心地や感覚は良いかもしれないですが、サッカー界全体でみると一生変わらないことなのかなと最近感じます。
スタンダートからの逸脱。
この本を含めて海外の溢れる情報を各自がきちんと吟味し、現場に落とすことを丁寧にやっていくようにしていきたいと思います。
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